「お薬手帳」熊本で有効性再確認

14日で発生から1か月を迎えた熊本地震で、避難時に服薬履歴を書いた「お薬手帳」を持ち出すことの有効性が再確認されいているという。手帳を居て病名や薬の種類が分かり、適切な処置につながった反面、手帳がないためにどの薬を出すか判断が難しいケースがあったからだ。熊本県益城町で支援活動にあたった経験を踏まえ、岡山赤十字病院の薬剤師浅野志津さんは「外出時には必ず手帳を持って」と訴える。
浅野さんは日赤県支部が派遣した救護班の一員として、益城町で医師や看護師と計11人で活動。千人以上が避難していたという町総合体育館で4月21日~23日に巡回診療し、持病のある人や体調が優れない人など約120人に投薬や服薬支持を行ったそうだ。
活動の中で再確認したのが「お薬手帳」の重要性だという。避難所で生活していたが、同じ敷地内に設けられた救護所に出向く気力もなかったという70代の男性は、注意が必要な要観察者のリストから漏れていたそうだ。浅野さんは手帳を見せてもらい、治療薬から手足の震えや体のこわばりが起こる難病・パーキンソン病と特定できたという。「もし手帳が無ければそのままリストに載らず、健康状態が悪化した可能性もあった」と明かした。
逆に手帳がなく投薬判断に困ったこともあったという。高血圧の高齢女性から「手帳が持ち出せなかったので、普段飲んでいる2種類の薬が分からない」と相談されたが、普段より効き目の強い薬は血圧が下がり過ぎることもあるため、リスクに考慮した投薬を医師に提案したそうだ。「手帳があれば、もっと適切に血圧をコントロールできる薬を選べたし、迅速に処方できただろう」と話す。
岡山赤十字病院の薬剤部では、錠剤の包装ケースなどを携帯電話やスマートフォンで撮影しておく手法も紹介。手帳を持ち出せなかった場合も包みに書かれた情報から薬の種類が分かるという。浅野さんは「持病に対して適切な薬をスムーズに出せる。命に関わる大切な手帳。避難の時は持ち出して」と呼びかけているとのこと。
お薬手帳は面倒で持ち歩かない人も多いかもしれないが、こうしたケースを聞くとやはり手帳はきちんと管理していた方がよさそうだ。